建築士の勉強で出会った、”emoie”(エモイエ)の「答え合わせ」
こんにちは!”emoie”(エモイエ)の近江です。週末はいかがお過ごしですか?
私、いま建築士の資格を取るために勉強中なんですが、先日、建築史のテキストである言葉に出会いました。
アーツ・アンド・クラフツ運動。
教科書のそのページを読みながら、思わず手が止まりました。「これ、私たちが”emoie”(エモイエ)でやろうとしていることと同じじゃないか」と。今日はその話をさせてください。
まずは、こちらの内観写真をご覧ください。

家具もインテリアも置かれていない、いわば「すっぴん」の空間。それにもかかわらず、洗練された静けさと、どこか懐かしい温もりを感じませんか?
なぜ何も置かれていない空間がこう見えるのか。私自身、授業でこの運動を知るまで、感覚でしか説明できていなかったんです。
100年前のイギリスで起きたこと
19世紀後半、産業革命によって機械による大量生産の波が世界を覆い尽くそうとしていました。効率とスピードが最優先される社会へ急激に変わっていく中で、「ちょっと待て」と声を上げたのが、デザイナーのウィリアム・モリスたちです。
彼らの主張はシンプルでした。「効率や便利さだけではなく、職人の手仕事や自然の美しさという、人間にとって本当に心地よいものを取り戻そう」。
これ、現代の感覚にもつながっていますよね。ヴィンテージデニムの色落ちに惹かれたり、少し不格好でも職人が焼いた陶器を選んだり。「経年変化を楽しめるもの」「背景にストーリーがあるもの」を美しいと感じる今の私たちの感性は、まさにこの運動の延長線上にあります。
ただ、調べていくと意外な事実が
授業のあと、面白くなって自分でも調べてみたんです。すると、モリスの理想にはひとつだけ、彼自身が最後まで解けなかった矛盾があったことが分かりました。
職人の手仕事は、どうしても高くつく。「美しいものを、すべての人の暮らしへ」と願ったモリスの作品は、皮肉なことに、一部の裕福な人にしか手が届かないものになってしまったのです。
それから100年。住宅の世界では合理化が進み、規格化された建材を組み合わせるスタイルが主流になりました。価格は手の届くものになった代わりに、今度は「手の痕跡」が住まいから消えていった。
エモイエがやっていたのは、この方程式を解くことでした
教科書を閉じて気づいたのは、私たちが感覚でやってきた”emoie”(エモイエ)の家づくりが、実はこの矛盾への挑戦だったということです。
「呼吸する素材」へのこだわり 床には、素足に柔らかいレッドパインの無垢材。壁には一般的なクロスではなくオーガニック壁紙を採用し、時が経つほどに味わいを増していく空間を作っています。
規格品にはない「一点物」の温もり 毎日立つキッチンは、自然塗料を用いて職人が一つひとつ手仕立てしたもの。洗面台の落ち着いたタイルも、職人が手作業で貼り上げています。
「天井高2.2m」という設計判断 天井はあえて2.2mに抑えています。空間に包み込まれるような落ち着きが生まれるだけでなく、暖房効率が高まり、建材のムダを省いて建築コストを抑えられる。さらに建物全体の重心が低くなるため、外観のプロポーションにも安定感が生まれます。美しさと合理性が、ひとつの判断の中で同時に成立しているのです。
合理化できるところは徹底的に合理化し、その分で生まれた余裕を、人の手でしか作れない部分に注ぎ込む。だからエモイエは、職人の家でありながら、手の届く家であり続けられます。


まとめ:100年越しの答え合わせ
「役に立たないもの、美しいと思わないものを、家に置いてはならない」
モリスが残したこの言葉に、教室で出会えてよかったと思っています。自分たちのやってきたことの意味を、100年前の先人が言葉にしてくれていたのですから。
選び抜かれた自然素材と、人の手の痕跡。だから”emoie”(エモイエ)の空間は、どんな家具を置いても、どんなライフスタイルを重ねても、すべてを受け止めてくれるのです。
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